気付けば、君の腕の中。
彼女の存在は消えないまま、数日が経過したある日の晩。
母さんが仕事で遅くなるため、鍵を持っていない俺は家の前で待っていた。
そんな俺に話しかけたのは―、避けに避け続けたあの女の子。
思わず身構えてしまうと、彼女はまるで猛獣にでも話しかけるように、恐る恐る「こんばんは」と言ってきた。
元々、話しかけられるとは思っていなかったため、俺は反応が遅れてしまった。
目の前であたふたする彼女を見て、俺はつい口角が緩んでいた。
…何で俺、彼女を避けていたんだろう?
今までと違うタイプの子で、普通に面白くて優しいし、愛想のいい人なのに。