気付けば、君の腕の中。
そんな彼女にちょっかいをかけるつもりで、「この前俺の庭のところでうろついてた人だよね?」なんて言えば、心外だと言わんばかりにこちらを見てきた。
くるくる変わる表情は、今までの恋人たちとは違う。
お人形のように笑い、お人形のように決まった言葉ばかり話す、そんな女の子ではなかった。
そんな彼女に罪悪感が沸き、避けていたことを白状すれば、両手を横に振り「気にしてない」なんて言った。
え…、普通「何で避けてたの」とか「変に意識してたなら気持ち悪い」と思うはずだ。
彼女は俺の考えすら「思っても見なかった」と言わんばかりにこちらを見るので、本当に調子が狂う。
正常に判断できなくなった俺は、ぽろりと言いたくなかったことを口にしていた。