気付けば、君の腕の中。


あたしも二人に背を向けて歩き出すと、いつもより早歩きで学校に向かった。


教室に入ると、やっぱりあたしの席に座っている奈々美がいた。

彼女はあたしと仲良くなってから、ずっとあたしの席で待っていることが多い。



何でだろうと思って聞けば「絢華っていつも泣きそうな顔してるから、心配で」とのことらしい。


確かにあたしの席に座っていたら、嫌でも顔が見えるだろうし、何だか奈々美らしくて、また泣いてしまいそうになった。



「おはよ、奈々美」

「あれ、絢華。何かあったの? 凄い泣きそうな顔してるけど…」

「あはは…、きっと誤魔化せないから言うけど…、あのね」



そこまで言いかけて、クラスメイトの女の子が「白鈴さん、呼んでるよー」とあたしを手招きした。


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