気付けば、君の腕の中。
そうは言っても、女の子二人に男の子一人だと割合がおかしいので、凜くんが男の子を一人連れて来てくれるらしい。
詳しいことはまた後日連絡すると言った凜くんは、あたしとメアド交換をしていないことを思い出し、あっさりとメアドを教えてくれた。
「じゃあ、そろそろ予鈴鳴るから行くね。ありがとう、絢華」
「うん、どういたしまして」
凜くんと別れて教室に入ると、月城はギリギリ間に合ったようで、既に席に座っていた。
奈々美も自分の席に戻って、頬杖をつきながらぼんやりと時間を潰している。
皆、青春しているなあ。
あたしも青春の1ページを何かで埋めたいけれど、それは高校生になってからと決めているのだ。
それまでにはきっと―、家族みんなの笑顔が戻っていることを信じて、あたしはそっと窓の外へ視線を向けた。