気付けば、君の腕の中。


さっさとメモに書きとめて置くと、奈々美は髪を乾かし終えたのか、短い髪を指先で摘んだ。


「それで? もうアイツのことはどうでもいいからさ、転校生のこと教えてよ!」

「月城のこと…、確か奈々美苦手だったね…」

「だぁってさ! なーんかスカしてるヤツっていうか…ふんぞり返ってる態度が腹立つのよねえ…」

「あはは…、じゃあ凜くんのことなんだけど」

「そうそれ! 何で急に名前呼び!?」

「実は…」


さすがに凜くんに抱きしめられたことは言えなかったので、お互いの家庭問題で気づけば意気投合していた…と話した。


凜くんはネガティブな一面を持ち合わせていて、どこかほっとけないことも。


まあ、家庭問題についてはちょっと違う気もするけど、あながち間違いでもないだろう。


実際に凜くんが初めてあたしに聞いた言葉は「君の家族は仲いいの?」だったのだから。


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