気付けば、君の腕の中。


やれやれと言った様子で呆れる奈々美。

…やっぱり、おかしいのかな。


全然自覚がなくて、自分が怖いけども…。


そんな時コタツの上に置いていたあたしの携帯が震えた。

着信音は今流行りの恋愛ソングである。


慌てて手に取ると、そこに表示された名前に目を見開かせた。

ちらりと奈々美をみれば、片手で顔を覆っている。余程衝撃だったらしい。


「…いいわよ、出ても。無視しても意味ないだろうし」

「はは、うん。ちょっと待ってて」


暗い廊下に出ると、通話ボタンを押して「もしもし」と寒さではなく、緊張しているせいか声が震えた。



『…あ、もしもし? 今電話してよかったかな?』


凜くんの声を聞くと、心にじんわりとした何かが溢れた。


< 71 / 445 >

この作品をシェア

pagetop