気付けば、君の腕の中。
+ 初めて聞けた笑い声
泣き腫らした目を隠すように、俯きながら奈々美の家に向かう。
…きっとバレちゃうんだろうな。
あたし、本当にこれから凜くんに対して笑えるの?
「……絢華、何突っ立ってるのよ」
「! 奈々美…」
ハッと我に返ると、玄関に背中を預けて、まるであたしを待っていたかのように奈々美がそこにいた。
ぴたりと足を止めてしまったあたしを見て、呆れ顔で近づいてくる。
「ほら、外は寒いでしょ! 風邪引いたら折角今日まで、休み続けずに頑張って迎えた冬休みも、棒に振るわよ」
冷たい彼女の手のひらがあたしの右手を握り締めた。