気付けば、君の腕の中。
―次の日。
昨日はお母さんが部屋から出てくることはなかった。
さっき思い切って部屋の扉をノックしてみたけど、もう会社へ出かけたようだ。
その証拠に、昨日の晩あたしが作っておいた朝ご飯を綺麗に食べ終えて、流しに置いてあった。
あたしも自分の朝ご飯を食べ終えると、洗い物をしてから家を出る。
鍵をしっかりと閉めて、…よし!
気持ちを切り替えないと。
あたしが頑張ったら、いつかきっと昔みたいに家族みんなで笑い合えるはずだから。
鞄を肩にかけて、ぎゅっと手のひらを握り締めた。