気付けば、君の腕の中。


あたしの体温がじわじわと彼女に伝わったと同時に、ぼろりと崩れる涙腺。


前を歩く奈々美の表情は見えない。

…でも、きっと奈々美は優しい人だから、自分のことのように泣くのを堪えているのだろう。



「…お茶を飲んで、ゆっくり息を吐いて!」

「ん……」


温かい空気に包まれながら、奈々美の自室へ連れて行かれる。

すぐに用意されたお茶を飲むと、冷たくて喉が潤っていくのを感じた。



ぐちゃぐちゃに絡んでいた感情が、ゆっくりと解されていく。

目の前で心配そうにあたしを見つめていた奈々美は、ただあたしの言葉を待ってくれた。


「……奈々美、あたしわかんないよ…」



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