気付けば、君の腕の中。
奈々美の言葉にこくりと頷いた。
「…うん、凜くんには笑ってほしいから」
「はー…なるほどねえ。うちには絶対に合わないタイプだわ!」
「そう、かなあ…?」
「そりゃあそうよ! だってうちは何でもハッキリ言っちゃうタイプだけど、絢華は違うじゃない」
奈々美はあたしの涙を指先で拭うと、そのまま眉を下げて笑った。
「絢華、自分の感情を無視して、相手を困らせないように言葉を選ぶじゃない。
うちにはとてもじゃないけど真似出来ないもの。
だから、その転校生も絢華といるのが落ち着くんじゃない?」
その言葉がゆっくりとあたしの胸に落ちて、スッと溶けていった。