気付けば、君の腕の中。
暗い話ばかりしていたらアレだと思って、つい話題を変えてしまった。
「な、なんて…その、風船…可愛いよ?」
「…ふは、絢華って話題を変えるのうまくないよね」
「嘘!!」
「風船が可愛いって…はは、何それ」
へにゃりと頬を緩ませた凜くんを見て、何だかあたしまで笑えてしまった。
「ん…じゃあ風船貰いに行こうか。絢華が、俺の庭のところでうろついてたときに見た猫と、似たようなのいたらいいね」
「何か根に持ってる…?」
ちらりと凜くんを横目で見れば、穏やかな表情を浮かべて安心した。
…やっぱり凜くんには笑って欲しい。
それにしても桃は本当に大丈夫なのかな?
五十嵐くんってどこか危険そうなイメージがあるっていうか…。
「絢華? 向こうに風船あるよ」
「あ、うん!」
―きっと、大丈夫だよね…。