気付けば、君の腕の中。
自然な一連の動きをじっと見つめてしまった。
…凜くん、女の子慣れしてるなあ。
あたしもあまり意識しないように一口頬張ったけど、味なんてよく分からなかった。
「あれ、絢華このジェラート?みたいなヤツと同じ顔色だよ?」
「う、うん…な、何か慣れなくて」
「…こういう食べ合いを“友達同士”でやりたかったんだ。一つ願いが叶ったよ、ありがとう」
「! …うん、どういたしまして」
…そうだよね。
凜くんはあたしのこと“友達”として見てるんだった。
勘違いするな、あたし…!
戻ってきたジェラートのカップを握り締めると、小さな音と共に、少しだけカップが潰れた。
「あ…いた! 絢華と坂木くん!」
お化け屋敷から出てくるには早いが、桃が手を振ってこちらに向かってきた。