乙女ゲームヒロインは悪役令嬢をお望みです!
「で、俺はリアの話したことを信じろ、ということですか?」
「前世を全部思い出せたわけではないけれど、そうね、そういうことになるわ」
ここはルイの部屋。
ルイが淹れた紅茶が私の前で良い香りと共に湯気を立たせていた。
長話になるだろうからと、落ち着いて話すためにやってきたのだ。
本当であれば、同じ王都の貴族街にある私の家に呼べれば良かったのだけれど、お父さまにバレるとまた面倒なことになるので、ルイのフォスター伯爵家におじゃましている。
そう、私の恋人のルイス・フォスター。
伯爵家という貴族であるものの、ダンカン公爵家と比べてしまうと格が下。
それがお父さまには気にくわないようだ。
お父さまとしては、私を王家に嫁がせたいのだから至極当然のこととも言える。
不幸中の幸いは、お母さまはそれほどルイのことを反対していないこと。
『アメリアちゃんが選んだ人だもの! 悪い人なはずないわ!』とのこと。
確かにルイは真面目だし、フォスター伯爵家の皆様方も真面目だと評判なので否定しない。
が、盲目的に娘を信用するのもどうかと思う。
仮に私が変な悪い人を連れてきても応援してきそうだ。
……ルイ以外を連れてくるつもりはないけれども。