乙女ゲームヒロインは悪役令嬢をお望みです!

いやいや、こんなことを考えているときではない。

頭を軽く振り、現実へ戻る。

私が若干思考がトリップしていた間も、顎に手を当て、悩んでいたルイ。

程なくして、私と目が合うとハァとため息を吐いて、嫌々そうに口を開いた。


「それで、その話を聞かせてリアは俺に何をさせたいのです? ……そもそもリアの言う『乙女ゲーム』とはなんですか?」

「あ……」

「『あ……』なんて。何も考えずに俺に話したわけではないでしょう? さすがのリアでも……」

「ちょーっと聞き捨てならない言葉が聞こえてきたんだけど!?」

「普段を考えてください。貴女は普通じゃない。変人と言っても過言ではないのですから」

「過言よ!? って、そんなことは関係ないわね……」


私もため息を吐く。

ずりずりと座っていたソファへと沈み込み、なんて説明すれば良いか悩む。

が、悩んだところで私の残念な脳みそはろくな答えを出さないだろう。

えぇい、ままよ! とばかりに考えたことを口に出す。


「『乙女ゲーム』ってのは恋愛小説みたいなものよ」

「リアが好んでいる、庶民の娯楽の?」

「そうよ、普通は貴族は読まないものね……。読んでいれば説明は楽なんだけども……」

「……リア、まさかまた読んでいるのです? さすがに人前で読むのはやめましたよね?」


厳しく追求してきそうなルイの気配に、私はギ、ギ、ギ、と顔を背けて、話を逸らす。
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