乙女ゲームヒロインは悪役令嬢をお望みです!

焦って声が裏返ってしまったのは忘れてしまえ。


「そ、そそそそんなことは置いときましょう? 『乙女ゲーム』の説明よね? 一言で言うとアレよ、ヒロインが攻略対象者をおとすだけよ。危険なことはないわ」

「その狼狽えぶりがかなり怪しいのですが……。いえ、せいぜい教会の中だけででしょう。ですので、目を瞑ります。人目は人目でも民衆に知られなければ良いのですから。リアのイメージを守るためなんですからね? ただやはり『乙女ゲーム』というのが理解できないのですが……」

「そうね、そうよね……。なら、あ、アレよ、今度こそ伝えられるわ! 『乙女ゲーム』ってのは恋をするのよ、ヒロインと攻略対象者になっている男性が! で、ゲームの中に何人か攻略対象者がいて、自分の好きな人を選んで恋ができるのよ!」

「……つまりリアが言うことが本当ならば、ヒロインとやらがリアで、攻略対象者が俺、ということでしょうか?」


首を傾げながら言ったルイに、私は首を横に振った。

ルイは目を丸くする。

私もそうだったら良かったのに、と思いつつ、現実は全く違う。

私は現実を言わなければならない。
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