乙女ゲームヒロインは悪役令嬢をお望みです!
目が覚めると真っ先に真っ白な天井が目に入った。
私が眠っているふかふかなベッドは保健室に置くのは勿体無いような代物である。
右手に暖かさを感じて見てみると、ルイが手を繋いでいてくれたようだ。
「あら、ありがとう。ルイ」
「いや、俺は何もしていませんよ」
不甲斐ないと言いたげな笑みを浮かべるルイに、私は一生懸命首を横に振る。
それでもルイの気は収まらないらしく、ついにルイは私に頭を下げた。
「それにあんなに人が多いところでリアに触れてしまいました。本当にごめんなさい!」
「いいえ、ルイ。あれは不可抗力よ。あなたは悪くないから……謝らないで?」
「……リアがそう言うのなら」
ルイはゆっくりと顔を上げると、私の手を離してしまった。