乙女ゲームヒロインは悪役令嬢をお望みです!
あっと思うものの、すぐに私は顔が熱くなる。
だってルイが私を抱きしめたから。
「ル、ルイ!? ここ学園! ダメ!!!」
突然のことに、私の処理能力は低下して、単語しか発せない。
頭上でルイがクスリと笑う音がした。
「だからこそ、人目がない今だけは許してくれません?」
弱々しく続いた言葉に私が断れるわけがなかった。
「今だけ……だからね?」
「分かっていますよ、聖女様」
「……もうっ!」
からかうように私を『聖女様』と呼ぶルイは“らしく”なかった。