乙女ゲームヒロインは悪役令嬢をお望みです!
さて、ワタシの前世の話をしましょうか。
ワタシはどこにでもいるような高校生をしていました。
特別かわいいわけでもなく、友だちと毎日バカなことをして遊んでいました。
最近は悪友の勧めにより、乙女ゲームとやらに手を出しハマり、あの日も深夜遅くまで……いや、明け方と言ってもいいでしょう。
そんな時間まで乙女ゲームをして、寝不足でした。
注意散漫で、ボーッとしておりました。
だからでしょうか。
ワタシは赤信号を渡っていることに気が付かなかったのです。
ワタシに迫り来る大型トラック。
あぁ、ここでワタシは死ぬんだな、そう覚悟しました。
えぇ、死にましたよ。
当然のことです。
あの時の痛さは思い出したくもありませんね。
ただ、話はここでは終わらないのです。
“ワタシ”は“私”になりました。
……いいえ、“私”が“ワタシ”の記憶を思い出してしまったのです。
きっかけは分かりません。
学園長先生の話にきっかけがあったのでしょうか?
いえ、過ぎてしまったことですし、そんなことはどうだって良いのです。
結果が問題なのです。