光の華~闇に咲く一輪~



その日からあの子は幾度も幾度もあたしにキスをせがむ。


だから、鬱陶しく感じてしまった。


中学三年の秋。


日直だった放課後、あの子と関係を断ち切った。


その日からあの子とは関わらなかった。


だけど関係を断ち切った日から、一度だけあの子と喋った。


あの子は静かに笑う。力なく……笑う。


それから卒業間近になったとき、あの子が龍華を止めたという風の噂があたしの耳に届いた。


近づきたくても近付けない。


あたしのせいだと分かっていたから、尚更。


その時、初めてルールが鬱陶しく感じた。


寂しく笑うあの子のそばに行って抱き締めたい。


だけど、それは許されない。


今更近付いても無駄な期待をさせるだけ。幼馴染みに冷たく言い放たれ、あたしとあの子は二度と関わっていない。


深い傷を追わせた。深い傷を追った。


一生消えることのない、傷を。


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