光の華~闇に咲く一輪~
さて……どうしたもんか。
……とりあえず、猫宮さんだけは必ず守らなきゃね。
「猫宮さん、あそこの角曲がろ。」
「え……?」
本来なら真っ直ぐ行くところをあえて曲がる。
相手が一瞬でもあたし達を……いや、猫宮さんを視界から外せればそれでいい。
幸い、相手はまだあたし達が二人に気付いているということに、気付いていないっぽいからね。
「曲がったら全力で逃げてね。もし追いかけられているのが分かったら、後ろを絶対に振り向かない。倉庫近くで捕まりそうになったら、大声で叫ぶ。」
「……未音ちゃんも一緒だよね?」
「あたしは……」
『桜の事全力で守れよ。』『無茶すんなよ。何かあったら直ぐに連絡しろ。』
ごめん、瀬月君。
「おとりになるよ。」
「……え?何言ってるの!?そんなことしたら……」
「良いから!あたしは大丈夫だから。猫宮さんは全力で逃げて。絶対に倉庫まで走りきってね。」