Letter――伝えられなかったことば――


「おーい!!」

奈美がアタシの目の前でヒラヒラと手をふる。


「っあ!!ゴメ」

苦笑いしながら「行こう」と促して 奈美の背中を押した。





次の時間は社会。


今回は普通の授業だから ヒマ〜にしていられる。




ノートをとろうとしても 頭をよぎるのはさっきの光景。



アタシはノートをとるのを諦めて 頭が考えたいことを考えさせてやった。






………煙が出そうになりながら。












「起きろぉぉぉ!!!!!」


そう言いながらアタシの頭をペチンと叩く人がいる。



100% 奈美だろうけど。



「なによー……」


いつの間にかアタシの視界は闇になっていた。



つまり 寝ていたということで。










考えていることの結論は出た。









『アタシは 先生に恋している』









寝る直前アタシは一瞬だけ幻をみた。




アタシと先生が町で 一緒に歩いている光景を。







傷ついてもいい。

同級生から白い目でみられてもいい。






アタシはとにかく 先生の隣でいたい。







………ずっと前からそう思っていたはずなのに。






今頃 気づいてしまった。








教育実習が終わるまであと3日。
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