天空に一番近い蒼～女子校体育教師と生徒の恋の場合

「ま、トンビやカラスに襲われないようになー。」

「小動物扱いしないでよ。」

「ん？いやなんか青海って小動物っぽいもん。

小顔で口ちっさくって、眼ばっかりうるうるぱっちりしてて、なんか動きとかも…」



そう言って先生は私のほっぺを摘まむ。

幽かに煙草の香りがする指先。



「ろーぶつひゃくひゃい！(動物虐待！)」

「何言ってんのか分かりません。」



先生はほっぺをむぎゅと引っ張ってからぱちんと指を離した。

途端に先生の触れたところがひんやりと感じる。

摘ままれて痛いはずなのに、なぜか心のどこかで離さないで欲しかったと思っているかのようだった。



かちりとライターの音がして、先生が煙草に火を点ける。



「はぁ…」

先生が煙と共に溜め息を吐き、私の隣でどさりと寝転がる。



「どうかしたの？」

「んー？」



煙草を持たない方の手を枕に、脚を組んで空を見上げながら力のこもらない感じで先生が返事する。



「さっき職員室で豊島先生と子供の写真見たんだ。」

「え…」



豊島─

その名にどきりと嫌な心機がした。