雨の降る世界で私が愛したのは


 わたし達は本当の意味で人以外の他者との共存を実現させるべきなのだ。

 もしわたし達が信じる、人が最もこの地球上で優れた動物であるならば、そうであるならば、人はそれができるはずだ。

 それができる世界になった時、もはやわたし達は=人ではなく、わたし達=宇宙の全生物になる。

 わたしはその日がいつか必ずやってくると信じたい。

 願わくば、わたしのこの目でその世界を見てみたい』




 ハルは静かに本を閉じた。

 ハルが初めて一凛を見たとき、一凛はまだ少女だった。

 うっすらピンクに染まった頬にあどけなさが残る顔はハルには幼く見えたがそれと同時にとても愛おしい守るべき存在に思えた。

 毎日のように檻の前にやってきて自分に話かける一凛を最初は煩わしいと思った。

 人間の子どもの気まぐれにつき合うのは馬鹿馬鹿しいと。

 それでも一凛の話を聞いているうちに、一凛のひたむきさに少しづつ心が動かされていった。


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