気付いて、届いて
門限、というのはやっかいだ。

彼女を7時前に家に返さなければならない。改札で別れる。付き合い始めて3ヶ月目、彼女を家の最寄り駅まで送らなくなった。

改札を通ると、肩越しに振り向いて、彼女はきゅっと口角を上げる。またね、と。俺はその動きで、「また」があることに安堵するんだ。

彼女が乗った電車が出発したのを確認したあと、缶コーヒーを飲みつつ、メールを打つ。


「今日は楽しかった帰り、気をつけてな」


返信は今日中にくるだろうか。12時をすぎる前にくればいいなぁ。

そんなことをぼんやり思いながら、最後のひとくちを飲みほした。
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