この恋は、きみの嘘からはじまった。
「司でもそんな顔するんだな」
「え?」
「赤くなってる。
わかったの?」
「……手、離せよ」
秋人の質問には答えずにそう言えば、今度はすんなり離してくれた。
にやついてる秋人がやっぱりむかついて、お腹を一発殴る。
にぶい声を出したけど、まだにやついてるからほんとむかつく。
「お前、許さないから」
「俺とこっちゃんはなんの関係もないよ」
「……当たり前だ」
ぼそっとつぶやくように吐いてから、階段を急いで降りて桃瀬さんを探した。
授業をしている教室の近くにはいかないはず。
いや、桃瀬さんはけっこう真面目っぽいし授業に戻ってるかも?