この恋は、きみの嘘からはじまった。
どんな感情であれ、俺が桃瀬さんの中にいるってことだけでいい。
全部ひっくるめた桃瀬さんを俺のものにしたい。
桃瀬さんを見つめていると静かに首を横に振った。
「そんなの、ないよ。
確かに賭けだって知った時は苦しかったけど、納得できた。
如月くんが私なんかを相手にするわけないってわかってたもん……」
「……」
「でもね、その賭けの相手が私で良かった。
私は1年のあの雨の日から、如月くんのことが好きだったから嬉しかった」
頬に伸ばしていた俺の手を離し、両手で包み込まれる。
その手はすごく熱くて、ドキドキした。
「賭けを利用して、如月くんのそばにいたのは私。
如月くんのそばにいられるならなんでも良かった。
私はこんな図太くてずるい女だけど、本当にその……好き?」
はぁ……なんなんだよ、まじで。