この恋は、きみの嘘からはじまった。
私の次の駅から混み始めるからまだ空いていて、自分の中で決まった席に座ることができた。
電車に揺られて3駅目で降りる。
同じ制服の人に揉まれながら降りて、ホームを出るけど如月くんは見当たらなかった。
どこだろう?
明確に場所は決めてなかったから、どこに行けばいいのかわからない。
とりあえず駅の外に出ようかな。
階段に向かって歩きだそうとした時。
「桃瀬ちゃん!」
後ろから声をかけられて振り返る。
あまり聞き慣れない声だったけど、呼び方で誰なのかは想像ついた。
「杉山くん、おはよう」
「おはー」
想像通り私を呼んだのは杉山くんで、明るい挨拶の声とはかけ離れたきまずそうな表情で目を逸らした。