この恋は、きみの嘘からはじまった。
周りがチラチラと私たちを見ながら通り過ぎていく。
恥ずかしくて頭を下げる杉山くんの頭を上げさせようとするけど、頑なに戻してはくれない。
「司に昨日聞いたよ。
桃瀬ちゃんのこと本気だって。
俺のことは信用できなくてもいいから、司は信じてやって!
あいつ、ほんとの本気だから!
初恋だから!」
「え……っと、うん。
わかったから顔を上げて」
そこでやっと杉山くんは顔を上げてくれた。
目が合ったことに嬉しくてにこっと微笑む。
「大丈夫だよ。
如月くんのことも、杉山くんのことも信じるよ。
杉山くんのおかげで、私は如月くんと話せるようになったってことだもんね?」
昨日、如月くんと話した時に経緯は全て聞いた。
杉山くんが持ちかけていなかったら、私は如月くんをいまも遠くから見ているだけだった。