この恋は、きみの嘘からはじまった。
バクバクとうるさい心臓をなんとかしようと、深呼吸を繰り返す。
如月くんに名前を呼ばれるのは二度目だ。
慣れない響きに胸がいっぱいになる。
「うわ、見せつけんなよ。
はぁーいっつも司ばっかりズリィよ」
「どうでもいいけど、この子だけは手を出したら怒るよ」
「ガチかぁ……俺が司より先に狙ってたのに」
「知るか。
じゃあ、行くよ」
「俺も!」
「お前はひとりで行け」
私に抱きついていた腕を離すと、手を繋いで歩き出す。
杉山くんも一緒の学校なのに、完全無視で如月くんは私しか見ない。
私が如月くんを見ればその向こうに杉山くんがいるから視界に入って仕方ないんだけど……。