この恋は、きみの嘘からはじまった。
顔を上げれば軽くちゅっと音を立ててキスをされた。
不意打ちに顔がカァッと赤くなる。
「傘差さずに学校行ったから俺めっちゃ濡れるわけじゃん?
まぁ、自分で貸したから仕方ないしそれはいいんだけど」
私が照れてるのに気づいてか、頬に優しく触れながら話しはじめる。
如月くんは本当に優しい表情をするよね。
「そのあとに傘を返しに俺のところ来てくれたじゃん。
丁寧にお礼言って、自分の傘は新しく買って、タオルとのど飴とスポーツ飲料やお菓子とかいっぱいくれたよね」
覚えててくれたことに驚いて声も出ない。
目を丸くして如月くんを見詰める。
確かにあのあと、コンビニに寄って傘を買って、風邪を引いたら申し訳ないからってお礼もかねていろいろ買って如月くんに渡した。
覚えててくれたんだ……。