この恋は、きみの嘘からはじまった。
「さっき、大丈夫だった?」
「さ、さっき……とは?」
「ボールぶつかったの。あ、まだ赤くなってる」
「こ、こんなの全然大丈夫です!」
それよりも如月くんと話してるいまの状況の方が大丈夫じゃない。
顔から火が出そうなのを必死に抑える。
放課後の廊下、周りはうるさいはずなのに意識が如月くんにだけ向いてるため、無駄な音は聞こえない。
「良かった」
「え……?」
如月くんが私を見ている。
心配してくれたみたいで、安心したように息をついた。
そのまま頬を緩めて恥ずかしそうに少し視線を斜め上に向ける。
「桃瀬さんのこと、ずっと気になってたんだ」
私の名前、知ってたんだ。