この恋は、きみの嘘からはじまった。
まだ言葉は続いていたみたいで、しまったって思った。
私、完全に遮っちゃったよね。
相手も戸惑ってるじゃん。
申し訳なかった。
だから今度はしっかり聞く態勢にはいる。
「ああああのっ……」
「琴乃」
急に名前を呼ばれて、振り返る間もなく空いてる方の手を引っ張られた。
だから掴まれていたほうの手はすんなりと離れる。
「如月くん。
下駄箱行くって……」
「うん。
でも、来ちゃった」
見上げればにこっと微笑むその顔に、なぜか影が見える。
けど、如月くんが来てくれたことが素直に嬉しくて笑顔になる。