この恋は、きみの嘘からはじまった。
「で、あの人は?」
「あの人って……?」
「分かってるくせに~!
如月司(きさらぎ つかさ)に決まってるじゃん」
「あ、え……」
奈々ちゃんから出た名前にいっきに顔が熱くなったのが分かる。
恥ずかしくて、少し俯くと軽く背中を叩かれた。
「同じ?」
「……ところにはいなかった」
「あら、残念だったね」
残念、と思いつつ少しホッとしていたりもする。
名前を聞いただけで、ドキドキして顔が熱くなるのに、同じクラスになんてなったらきっと授業どころではない。
やらなきゃいけないことに手がつけられなくなりそう。
でも、やっぱり同じクラスになりたかった。
なんて矛盾した気持ちがぶつかる。