この恋は、きみの嘘からはじまった。
「今日はもうだめって……」
「わ、私がしたかったからつい……」
「っ……そうゆうの、反則だから」
「えっ?」
「今度はここにしてもらうよ」
自分の指で唇を示したその口から発された余裕な言葉。
それとは裏腹に声はいつもと違って半音くらい高い。
そんな初めて聞く司くんの声と、車が横を通ることで見えた司くんの照れた表情を私はきっと忘れない。
貴重な表情。
これからいっぱい見たいと思った。
おまけのように一発だけ再び花火が上がった。
私たちの盛り上がりを加速させるように。
一瞬明るくなりしっかり見えた司くんの表情は、まだ少し照れている気がした。
夏は始まったばかり。
もっと司くんのいろんな顔を知りたいな。