この恋は、きみの嘘からはじまった。
俺の目の前で立ち止まった琴乃に、人目も気にせずに抱きしめた。
驚いたような声を上げたけど、それさえもかわいくて仕方ない。
ぎゅっと強く抱きしめてから、すぐに離して琴乃の手を握る。
こうやって約束して会うのは花火大会以来だから、1週間ぶりだ。
1週間も会えなかったら、もう琴乃不足になるに決まってる。
指を絡めて手を繋いで歩き出すと、俺より少し前を歩く琴乃。
「どうしたの?」
振り返り聞いてくる琴乃はいつも通り。
俺はいつも通りでなんていられない。
だって俺は琴乃の家に招待されていて、いまから初めて琴乃の家に行く。
そんなの緊張しないわけないだろ。