この恋は、きみの嘘からはじまった。
「え……?」
「お母さん!
それは秘密なやつだよ!!」
「あら、そうなの?
でもあの時の琴ちゃんが寂しそうで涙我慢しててね。
だけど最近はよく笑ってて幸せそうで、叶ったんだなって嬉しく思ってたの」
恵美さんは頬に手を添えて微笑む。
綺麗な笑い方でなんだか癒される。
琴乃のお母さんだ。
と、今日何度目かの同じことを思った。
でも、琴乃が本当にずっと俺のこと好きでいてくれたってことが嬉しい。
もっと早く、そのことに気づけていたら良かったな。
けどそんなことをいまさら考えたところで変わらないから、琴乃が俺を想ってくれていた以上の気持ちをこれから返したい。
「琴ちゃんは、司くんのこと大好きなのよね。
だからこれからもぜひ……」
「お母さんもういいか……」
「もちろんです」