この恋は、きみの嘘からはじまった。
恵美さんが車で送ってくれるって言ってくれたのを丁重に断って、ふたりに見送られながら駅に向かって歩き出す。
少し歩いてから立ち止まり振り返った。
「なんでついてきてるの?」
「え!
あ……の、それは……」
バレてないと思っていたのか、俺が振り向いたことに焦っているのは琴乃。
こんなの帰れないじゃん。
「なんで?」
「……まだ、司くんと話したくて。
家ではお母さんばっかだったから……」
やっぱり帰れないわ。
こんなかわいいこと言ってくる琴乃を放って帰れない。
どうせまた家まで送らないといけないし。
「寂しかったの?」
「……うん」
「……おいで」