この恋は、きみの嘘からはじまった。
「いつでも来なよ。
学校から近いし」
「うん!
ありが……」
「琴乃?」
「え?」
「やっぱり琴乃だ。
久しぶり」
……誰?
琴乃を馴れ馴れしく呼ぶ男。
手を伸ばすから触られたくなくて、その手を掴んだ。
そこでやっと俺を見て目を細めた。
いま俺に気づいたかのようで、琴乃しか見えてなかったんだとわかる。
「なに?」
「触らないで」
「誰?」
俺のセリフだよ。
そう思いつつキレそうなのを抑えて抑えて、笑顔を無理やり作る。