この恋は、きみの嘘からはじまった。
「如月司。
あんたは?」
「小野寺仁(おのでらじん)。
それで、琴乃のなに?」
「そっちこそ」
「彼氏」
「それは俺なんだけど」
「じゃあ、いますぐ別れて」
いきなり現れてなんなの、こいつまじで。
イライラがどんどん募っていく。
俺の手を振り払ってまた琴乃に手を伸ばす。
「司くん、帰ろう!!」
だけどいきなり琴乃が立ち上がったからその手はなににも触れなかった。
琴乃が小野寺の横をすり抜けるから、俺も伝票を持って立ち上がる。
「また、会いに行くよ。
今度こそ離さないから」
小野寺が後ろでそう言ったけど、琴乃はなにも言わなかった。
こんな琴乃は初めてで、すごいモヤモヤした。