この恋は、きみの嘘からはじまった。
素早く会計を済ませて、店の外に出た琴乃の手首を掴んで引き止める。
「琴乃!」
「あ、お金忘れてた。
いま出すね」
「それくらいいいから」
「私が飲んだんだからそこはきちっとしたい」
「いらない。
そんなことよりさっきの」
そう言った瞬間ビクッとして動きが止まる。
「だれ?」
「……元カレ」
琴乃に元カレがいるって考えたことなかった。
こんなにかわいいんだから、俺と付き合う前に彼氏のひとりやふたり、いてもおかしくない。
でも、俺としたキスが初めてって言ってたから彼氏もいないものだとばかり思っていた。
なんか……むかつくな。