この恋は、きみの嘘からはじまった。
聞き覚えのある名前に声。
驚いた拍子にもう一度霧吹きをかけてしまった。
「つめっ、冷た!!」
「こんなにいい反応するなんて、脅かしがいがありそうだな」
杉山くんの驚いた声に、秋人くんの呆れたような声。
私たちのクラスのお化け屋敷は一緒に入るのは3人以下って決まっている。
もしかしたら……。
「わっ!」
「きゃあっ!!」
「うおっ!!
いま悲鳴が!悲鳴が聞こえた!!」
「ほんとうるさい」
考えごとをしていると、耳元で叫ばれて思わず悲鳴を上げてしまった。
そんな私の声に驚いてまた杉山くんが声を上げる。
私もびっくりしたから無意識に手に力が入り、再び霧吹きのレバーを引いてしまう。
また杉山くんにかかったのか大きな声を出していた。