この恋は、きみの嘘からはじまった。
「びっくりした?」
「当たり前だよ!」
「シー。
声が大きいよ」
私の唇に指を当てる司くん。
あぁ、またドキドキして苦しい。
だけど、大きな声を出さないようにしないと。
杉山くんの声はもう聞こえなくなっていて、すでにゴールしたんだと思う。
「もうすぐ休憩でしょ?
俺も上演まで暇だから一緒に回ろうよ」
「うん、回りたい!」
テンションが上がってるけど、今度はあくまでも小声。
私の髪に指を通す司くんが微笑んだ気がする。
「決まり。
じゃあ、琴乃の休憩までここにいようかな」
「え?」
「だめ?」
「だめ……じゃない」
「良かった」