この恋は、きみの嘘からはじまった。
「おい、どこ見てんだよ」
「ごっ、ごめんなさい!!」
勢いよく頭を下げると、自分の足と廊下しかない視界に手が映り込んだ。
その手は私の頬を鷲掴みにして、顔を無理やり上げさせた。
「やっ」
「お。すげぇかわいいじゃん。ラッキー」
「芸能人かなにか?」
「いまから抜け出して遊ばない?」
ぶつかったのは私だけど、こんなに責めることないじゃん。
大学生くらいのチャライ人に囲まれて、泣きそうになる。
怖くてなにも言えない。
「ほら、行こう」
頬から手は離されたけど、今度は手首を掴まれる。
けっこう強くて顔を歪めてしまった。