この恋は、きみの嘘からはじまった。
「そんな顔しても無駄」
「恐怖で歪んだ女の子の顔ほどそそられるものはねぇよ」
ペロッと自分の唇を舐めるその人は、もう恐怖でしかない。
なのに、私が怯えると余計に楽しそうにする。
「……離してください」
「えーなんて?」
「聞こえないなぁ」
「そうそう、その顔。
やばいわ」
怖くて、でも声も出なくて。
人が多いとこを抜けてしまい、周りに助けを呼べる状況でもない。
どうしよう、嫌だ。
助けて。
司くん……!!