この恋は、きみの嘘からはじまった。





「離せっつってんだろ」


「は?」


「お前、誰だよ」





不意に私を勢いよく引き寄せたから、大学生の手は離れる。


それと同時に、別の人の腕に包まれた。




懐かしい匂い。


変わってない。




泣きたくなるほどに変わってない。


力強い腕も、怒ると口が悪くなるところも。







「ほか行け。
さっさと失せろ、発情大学生が」


「チッ」


「萎えた」


「おもんね。
行こうぜ」










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