この恋は、きみの嘘からはじまった。
大学生がどこかに行ったのを自分の目で確認してから、離れようと肩を押した。
けど、回された腕が強くで離れることができない。
「ありがとう。
もう大丈夫だから」
「琴乃」
「…………」
「こっち、見てよ」
優しい口調に優しい声。
抗うことなんてできずに、自然に顔を上げてしまう。
私を助けてくれた小野寺くんと目が合うと、すごく柔らかく微笑んだ。
「ずっと話したかったんだ。
もう一度、僕とやり直そう」
真っ直ぐに見つめられてそんなことを言われたら、泣いて喜んでたと思う。
数年前の私なら。