この恋は、きみの嘘からはじまった。
「ごめんなさい」
いまの私には司くんがいるから。
すごく大好きで大切にしたいって思える司くんがいるから。
「どうして?
もしかして、前に会った男のせい?」
「違うよ」
これは私の意志だから、しいて言うなら私のせい。
私が司くんといたいだけ。
「じゃあね」
小野寺くんの手に自分の手を重ねて引き離す。
すぐに歩き出すけど、再び手を掴まれて引き止められる。
「なんで逃げるの?」
「……逃げてない」