この恋は、きみの嘘からはじまった。
私は小野寺くんを思いっきり突っぱねて、距離をとり秋人くんの後ろに隠れる。
涙を強く拭い、呼吸を整えた。
気持ちを落ち着かせて、冷静に、冷静に。
秋人くんのシャツを掴んで、顔を近づければ秋人くんの爽やかな香りで安心する。
「琴乃!」
「もう会わない。
会いに来ないで」
「琴乃!!」
「秋人くん、逃げよう」
「え?」
「お願い、私を連れて逃げて!!」
「わかった」
後ろを振り返った秋人くんは状況が掴めていないようだったけど、頷いてくれた。
小野寺くんが伸ばしてきた手をかわして素早くしゃがむと、後ろにいた私の両足をしっかりと脇にはさんで持ち上げられた。