この恋は、きみの嘘からはじまった。
「首に手、回して」
「う、うんっ」
おんぶされた私は、言われた通り秋人くんの首に手を回し離れないようにする。
体が密着して恥ずかしいとか、そんなことを考えてる余裕もない。
ぎゅーっと強く後ろから抱きしめるようにしがみつく。
小野寺くんが追ってくることはなかった。
「はぁ、はぁ……このへんで、いいかな?」
「秋人くん、ありがとう。
重たいのにごめんね」
「俺は別にいいけど、こっちゃんこそ大丈夫なの?」
体育館横の階段に腰を下ろす私。
秋人くんは立って私を心配そうに見つめてる。
「うん、ちょっとびっくりしただけ。
大丈夫だよ。
もうすぐ劇、始まるでしょ?
戻っていいよ。
私も始まる前に入るから」
にこっと微笑んでみせる。
秋人くんはそんな私を見て、皺を寄せた。