この恋は、きみの嘘からはじまった。
司くんはそれ以上なにも言わずに私の頭を一度ポンっと撫でると、背を向けて秋人くんと同じ方向へ歩き出した。
なんだか、違和感を覚えたけどもうすぐ開演だって言ってたから引き止めるわけにもいかない。
「司くん、王子様かっこいいよ!
見てるからね!!」
後ろ姿に声をかければ振り返って、柔らかく笑った。
司くんらしい優しい笑顔だけど、その表情に影を感じたのは気のせいかな?
なにも言わずにまた背を向けて歩き出す。
追いかけたいけど、追いかけられない。
私は仕方なく体育館に入る。
さすがの人気で、すでに席は埋まっていたから前の方の端っこに立って観劇をした。